『霞町物語』

『霞町物語』浅田次郎

浅田次郎自身の青春時代を描いた美しい連作短編集。
祖父の死ぬシーンが何度も出てくるのが印象的だった。
死は死ぬ人以外にとっては
思い出すたびに何度となく繰り返されるものだということを感じた。


動いているということは千分の一秒ずつ止まっていることの連続なんだろ。
だから人間は、一瞬をないがしろにしちゃいけない。
千分の一秒の自分を繰り返しながら生きて行くんだ。


毎夜のように遊び歩き、朝帰りしてもちゃんと高校ではほどほどの成績をキープする。
今だけよければいい、と酒を飲みつつも心の一部を醒ましておかなければならない。
そんな青春を送った主人公はスレているようでいて根っこの部分では痛々しいほど純粋だった。