永遠のゼロ

『永遠のゼロ』百田尚樹


先日、やっと映画を観に行った。
良かったけど、一部うーん、と思うところも。
主人公の友達が嫌な感じすぎるのと
最後の方の、現在と過去が重なる演出はやりすぎかなーと思った。
やっぱり小説の方がいい。


その後、堀越二郎の『零戦』を読んだら
零戦が生まれたときに他国の戦闘機に対してどれだけ優位になったかに驚き、
その後追いつかれ、追い抜かれ、それでも零戦に頼るしかなかったというのをより詳しく知った。


当時零戦を作った三菱重工業は敵だった人たちにも尊敬された、
特攻隊には遺書に書ききれなかった想いがあったはず、
戦争中でも命の大事さを訴えて、上官に逆らった人がいた、
そうしたことを語るときに過剰に演出してしまってはいけないところが難しいと思った。


ビートたけしが東日本大震災のことを語ったものを読むと、
特番を組んだり映画化するというのではなくて、
ただありのままの一人ひとりにスポットライトを当てることの大事さを感じた。


この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考えると、被害者のことをまったく理解できないんだよ。

じゃあ、8万人以上が死んだ中国の四川大地震と比べたらマシだったのか、
そんな風に数字でしか考えられなくなっちまう。それは死者への冒涜だよ。

人の命は、2万分の1でも8万分の1でもない。
そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。

さよならドビュッシー

『さよならドビュッシー』中山七里
「このミス」大賞。韓国旅行中に読んだ。
ラストにびっくり。


『さよならドビュッシー前奏曲』は短編集で、最後の話がよかった。
『おやすみラフマニノフ』はちょっと先が読める感じ。


この人の本はたくさんクラシックの曲が出てくるので、
その曲をYoutubeとかで聴きながら読むのが良かった。

輝く夜

『輝く夜』百田尚樹


一話ずつ美しいエンディングがあって、
外出先で読もうと思ったけどガヤガヤしてるところではもったいない気がしてきて
家でジャズをかけながら読むことにした。


浅田次郎の短編集を読んでいるつもりになっていて、
読み終わってから百田尚樹だったとびっくりした。


不思議な力で解決してしまう話はあまり好きじゃないけど
読んでいてこうなってほしいと自然に思えて
それが叶うのは素直にうれしい。

『わたしを離さないで』

『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ ハヤカワepi文庫


音のないメリーゴーランドのような美しさと不気味さ、
涙のない渇いた哀しみがあった。


無表情で、ときに笑顔で、理路整然と
「なぜあなたが死なないといけないか」と説明をされて
少しずつ自分の足で処刑台へ向かわないといけない。
周りはちゃんと「役目を果たして」いく。


『わたしを離さないで』("Never let me go" Judy Bridgewater)
http://www.youtube.com/watch?v=4UX6tzE7P44

囲まれる

歩いていたり乗り物に乗っていると
物売りや物乞いが来るが、そんなにしつこくはない。


なにしろ交通量が多いので、
一箇所でねばるよりたくさんトライすると
どこかでもらえるのだろうと思った。


物売りでも物乞いでもない人たちは
無言で少し距離をとりつつ囲んでくるか
「どこから来たの?」とか「名前は?」と尋ねてくる。
そういえば羊やヤギも人懐こくてかわいかった。


ベンガル語で答えることができれば会話に発展するのかもしれないが、
「ジャパン」とだけいうとそれでおわり。
「国はどこ?」→「ジャパン」→終了
「名前は?」→「マリコ」→終了
たくさんの人と同じやりとりを繰り返す。
一問一答のようでちょっとおかしかった。


英語ができる人は他に
「お父さんの職業は?」とか
「何の勉強してるの?」と聞いてくることが多く、
なんだか健全(?)な質問がおもしろかった。


最も驚いたことの一つは、みんな写真を撮っても全く嫌がらないことだった。
(飛行機で話した日本人の男性は、女性には写真を嫌がられたと言っていた)
ブルキナファソでは、たまに撮られたがる人もいたが、
突然勝手に撮ったら怒られたりお金を払えと言われることがあった。


バングラでは何かをお願いすると首をかしげられることが多く、
ダメかなと思うと実はそれが「OK」「いいね」という仕草で、
ほとんど断られることはなかった。


逆に何か言われてよくわからなくて首をかしげると
「今晩うちに泊まっていきなさいよ」と言われたのをOKしたことになってしまったりと
気をつけないととても危険なのだった。