影と向き合う

雷で停電になったからガードマンと話をしていた。
彼にとってはなんのことはない、雨季の雷。
物珍しそうに外を眺める私を見ておもしろがる。


引っ越してきたばかりの静かな夜、
することがなくて虫の声を聴いてた。
ラジオをつけて重たい静げさを追いやった。
毎日夜が来るのがいやだった。


最近はオフィスでも家でもパソコンと向き合ってるから
目と耳をふさいで閉じこもっているようなもの。

今夜は久しぶりに静けさを感じた。
虫の声と木々のさざめき。
私の庭の木はこんなに背が高かったかな。電柱の二倍ほどもある。


私はこんな静かな暗闇の中で何もせずに生きていけるほど強くない。
電気がなくて夜何もできなかったら自分と向き合うしかない。
それが、二年続くのは怖い。一生続くのは絶えられない。
首都で、電気があって快適な家でよかったと思う私は弱い。


今は少し、停電に感謝する。