万華鏡

ブルキナに新しくできたカフェ、Cappuccinoに来た。
インターネットが速いという噂を聞いたから。
チョコレートアイスを注文してネットにつなぐと本当に速い。


チョコレートアイスは、パフェのグラスのようなものに入って、
ラングドシャのような薄いクッキーを添えて出てきた。
ひとくち。濃厚でとろっと甘い。
どこでもドアでパリに来ちゃったんじゃないかしら…
と甘さにうっとりしながら窓の外を見ると


ボロボロの服を着た物乞い子ども
頭の上にたくさん物を載せた女性


ブルキナだ。なぜかドキッとした。




先日、ワガドゥグ大学で経済を教えている先生と話す機会があった。
格差の話、教育の話、いろいろ話をしてみたけど問題点ばかりに話が集中する。
「どこに希望があるの?」と聞くと会話が途切れてしまった。


先週会ったスイス人は10年連続でブルキナに来ている。
毎回1週間ほどの滞在だが、年々発展を感じているのかと思いきや、
ここ数年はむしろ停滞していると感じているそうだ。
ホテルやレストランには人が少ないし、サービスの質も落ちたという。


日本に退避してから、ブルキナに帰って大丈夫なのかと聞かれることがあるけれど、
毎日何事もなくさらさらと過ぎていき、
治安が悪化したように感じることはほとんどなく、
むしろ何もなかったかのように、皆けろりとしている気がする。



三国志の中で関羽が言った言葉、
「枳棘叢中(ききょくそうちゅう)鸞鳳(らんほう)の栖む所に非ず
棘や枳(からたち)のようなトゲの木の中には
良い鳳(とり)は自然栖んでいない」


ブルキナは、ネガティブな部分にばかり目を向けたら住むべき土地ではないかもしれない。
けれど、それだけじゃない何かもある。
「財布を落としたよ」とおしえてくれる人もいるし、ひったくりもいる。
すれ違いざまに笑顔で"Bonne arrivée!"(ようこそ)と声をかけてくれる人もいれば、
困っていた私に"Je m'en fous"(知ったことか)と言った人もいる。


それぞれの目に映るブルキナは一つとして同じ姿をしていない。
良い部分も悪い部分もたしかにブルキナだ。
何を見て、どう感じて、どこを評価するか、
「すみなすものは心なりけり」
自分の心の持ちようなのかな、と思う。