一時停止

金曜日の昼すぎ、街の中心部へ向かって歩いていた。
最近お気に入りのグアバを6個、40円で買って物乞いのおばあさんに2つあげた。
いつもと何かちがう、静かなような、それでいて人が多いような様子。
何かあるのかなと思ったら、一番大きなモスクの周りに
お祈りをするために人がたくさん集まっており、
気がつくと自分はバリケードで封鎖された中に入ってしまっていて
前にも後ろにも行けない状況になっていた。


近くのお店の前にイスを並べて眺めている人がいたから話しかけて
いっしょにお祈りが終わるのを待つことにした。
毎週金曜日の昼はこうして大勢の人がお祈りをしに来るらしい。知らなかった。


炎天下、敷物を敷いて並び、
焼芋屋のような、お経のような声(失礼ながら、アラビア語がわからない私にはそう聞こえる)
に合わせて立ったり座ったりしている。
日陰に座っていても暑いのに、大変なことだ。


15分くらい待つと、まるで一時停止から再生画面に戻ったように街が動き出した。
お祈りが終わって帰る人波を縫って、目的地のスーパーに向かって進む。
いっしょに待っていた人たちもさっそく昼ごはんを売り始めた。
お祈りしていた人たちの中にはおもむろに小皿を取り出し、
少しお金を入れて音を出して、物乞いを始めた人もちらほらいる。
1割、は言い過ぎだろうか、5%くらいの人はこのために集まってるのではないかと疑ってしまう。
スーパーに入ると、お祈りを終えたばかりのような服装の人たちもいた。富裕層だ。
宗教のもつパワーを感じた、非現実のような数十分だった。