金と結婚

最近停電が増えてきた。


家では、テレビでおもしろい番組をみているときと勉強中に停電するとがっかりするけど、
大体の場合は少しうれしい。
強制的にギターの練習ができるから。
最近フラメンコギターのDVDを見て練習したい内容が増えたから
1、2時間はすぐに過ぎてしまう。
楽譜が見れないのが難点だけれど、
見れるときに覚えてしまおうと思って集中力が増すからいい。


それでも電気が来ないと料理したり、洗濯とかシャワーとか
めんどくさくて後回しにしたいことを済ませる。
昨日はそれでも回復しなかったから仕方なく寝た。


オフィスで停電するとかなり暇になる。
みんなパソコンがないとできない仕事が多いし
昼間でも明かりが十分入らないから本も読めない。
結局おしゃべりの時間になる。


オフィスの人たちはブルキナ人のご多分にもれずおしゃべりが大好きだ。
新しい髪型や服装の話からコートジボワールやエジプトの話、
小さな話から大きな話まで同じ調子で毎日熱くしゃべくっている。


私が加わるとおしゃべりの内容は大抵「お金」と「結婚」の話になる。
他の内容だと私があんまり理解できないし盛り上がらないからなのだけど。


「ブルキナに残って俺と結婚しろ」とか
「日本にいっしょに行って結婚しよう」とか
「私を日本に連れていってあなたのお兄さん(時にお父さん)のお嫁さんにして」とか


正直、もう飽きた。
「結婚」や「日本人に対する興味」とセットになっている「お金」への欲求。
今日は単刀直入に「ねぇ、100万フラン(20万円)くれない?」って言われた。
道端の人ならともかく、もう10ヶ月もいっしょにいるのにこんなことしか言ってこない。
イラッとしたり、うんざりしたり、悔しく思ったりして上手く返答できない。
私はたぶん真剣に捉えすぎなんだろう。
あいさつの一つ、または「アナタハ日本人デスネ」の慣用表現だと思えばいいのだけれど。


しばらく時間を置いて考えてみると、
別に怒る必要も慣れる必要もないのかもしれないと思い直した。
そう言わせてしまう背景を変えたいんだったじゃないか。
表面上で毛羽立っても意味がない。
今度言われたらにっこり笑って「インシャーラ」(神様のおぼしめしがあれば)と答えよう。